UJIEN ― マスターカラーのご相談

マスターカラーを
どう決めるべきか

田口さんへ / 株式会社宇治園 / 2026-08-29

新ブランドのマスターカラーで迷っており、ご相談させてください。
いま持っている2案と、こちらで調べて分かったことを先にまとめました。お手数ですが、最後の4つの問いにご意見をいただけますと幸いです。

01相談したいこと

新ブランドのマスターカラーを、既存の2案のどちらかにするか、新しく設定し直すか。

背景

宇治園は 1869年創業の茶舗です。既存店(喫茶去・茶の彩 ほか)はそのまま残し、新ブランド「UJIEN CAFE」を立ち上げて、そちらで拡大していく方針を決めました。

状態
UJIEN CAFE 表参道店営業中(2026-08 に切替)
UJIEN CAFE 御堂筋本町店2026年12月中旬 開業予定・旗艦

コンセプト

高品質な抹茶スイーツを、カジュアルに楽しんでいただく。

目指したいこと

ブルーボトルコーヒーのように、ロゴ(アイコン)と色のセットでブランド認知を取っていきたいと考えています。

また、宇治園グループで1つの色に絞る方向で考えています。

02いま持っている2案

どちらも、創業時のロゴデータに記載されていた指定です。色みは同じ(C60 M36 Y100)で、違うのはスミの量だけです。

A案 ― K60 C60 M36 Y100 K60 #475326 / 明るさ L* 33.3 / 鮮やかさ C* 27.7 落ち着き・重厚感があります。
ただし暗く、黒っぽく見えてしまうのが気になっています
B案 ― K40 C60 M36 Y100 K40 #5c6a2e / 明るさ L* 42.4 / 鮮やかさ C* 35.0 A案より軽く、明るい。
既存の2案で選ぶならこちらかと考えています

白地に置いたとき

A案 K60#475326
B案 K40#5c6a2e
参考: ブルーボトル#00a9e0

この2案の出どころ

創業時のロゴデータに、こう書かれていました。

カラーが使用できる場合はマーク部分のみカラーでお願いいたします。
コート紙の場合 C60 M36 Y100 K60 が標準
紙質により沈んで黒に見える場合は C60 M36 Y100 K40 程度までは調節可です。

つまり本来 K60 が標準で、K40 は「紙のせいで沈んだときの逃げ道」という位置づけでした。ロゴデータの中に入っている色は、この2つと K100(黒) の3つだけです。

03迷っていること

2案とも、ブルーボトルコーヒーより目立ちません。そこを不安に思っています。

コンセプトが「カジュアルに」なので、ブルーボトルのような明るい緑のほうが合うのではないかとも考えています。

一方で、B案(K40)で十分ではないかという気持ちもあり、決めきれていません。

明るさ L*鮮やかさ C*白地コントラスト
A案 K6033.327.78.29
B案 K4042.435.05.91
ブルーボトル64.841.42.72

04こちらで調べて分かったこと

二度手間を避けるため、事前に調べた内容を共有します。意外だった点が3つありました。

① 同じ数値でも、青と緑では見え方が違いました

ブルーボトルの青L*64.8 の青で出せる限界=41.5
100%
同じ数値の緑L*64.8 の緑で出せる限界=73.5
56%

ブルーボトルの青は、その明るさで青が出せる限界いっぱいを使っています。同じ数値を緑でつくると、緑の限界の56%にしかならず、#96a458 のようなくすんだ枯草色になりました。数値を合わせても、同じ効果にはなりません。

② 🚨 鮮やかな緑は、CMYK では刷れませんでした

画面 → CMYK → 画面 の往復で確認しました(Japan Color 2001 Coated)。

画面刷り上がりずれ
A案 K60#475326#4f59366.7刷れる
B案 K40#5c6a2e#616d3b5.7刷れる
緑の限界いっぱい#88a900#87a53815.8🚨 刷れない
最も鮮やかな緑#566c00#5c703c22.3🚨 刷れない

画面で冴えた緑をつくっても、刷ると濁ります。宇治園は紙が主戦場(メニュー・サイン・パッケージ・名刺)なので、ここが効きます。

③ 🚨 吸い込む紙では、緑がほとんど灰色になりました

コート紙での鮮やかさ上質紙での鮮やかさ
A案 K6027.78.1 ← ほぼ灰色
B案 K4035.011.1

名刺・封筒・紙袋は上質紙系です。創業時のデータにあった「紙質により沈んで黒に見える場合は」という注意書きは、これを指していたようです。

参考: 印刷できる範囲での上限

明るさいちばん鮮やかな緑鮮やかさ白地コントラスト
L* 60#839a2f563.17文字には不可
L* 50#6e7e2f444.48文字にも使える
L* 42(B案)#5c6a2e355.91文字にも使える

いずれも「自然な茶の緑」の範囲(sRGB の R/G 比 0.52〜0.88)を保ち、CMYK 往復のずれが 7 以下に収まる色です。

05競合の状況(実測)

抹茶スイーツカフェ18社のサイトからロゴを取得し、14社の色を実測しました。これも意外な結果でした。

14社のうち、ロゴに緑を使っているのは4社だけでした。墨・黒が5社、白抜きが2社、赤が1社。「お茶=緑」を、ロゴではやっていません。
ブランド明るさ鮮やかさ系統
中村藤吉本店#37373723.10.0墨(ファイル名が logo_inkblack)
一保堂茶舗#4e4e4e33.20.0
伊右衛門サロン#30303019.90.0
伊藤久右衛門#c0000840.082.7
祇園辻利#e8e8e892.00.0白抜き
抹茶館#789c2a59.860.1明るい黄緑
茶寮翠泉#4c7a5447.129.2
ATELIER MATCHA#00382019.826.2深緑
福寿園#98985c61.632.9淡いオリーブ
スターバックス#00624136.235.8深い青緑(参考)

🚨 「いちばん目立つ緑」の位置は、抹茶館がすでに取っています(鮮やかさ 60.1)。明るく鮮やかな黄緑にすると、そこへ近づきます。
🚨 老舗ほど墨で、緑を使うのは比較的新しい抹茶カフェ、という傾向が出ました。

06ご相談したいこと

1
既存の2案のどちらかにすべきか、新しく設定し直すべきか 創業時のロゴデータにある指定(K60/K40)を守る価値と、新ブランドとして最適な色を選び直す価値の、どちらを取るべきでしょうか。
2
B案(K40)で「カジュアル」は成立するでしょうか 個人的には既存で選ぶなら K40 と考えていますが、コンセプトに対してカジュアルさが足りない気もしています。
3
鮮やかな緑は CMYK で刷れないと分かりましたが、それでも取りに行くべきでしょうか 特色(DIC / PANTONE)を使う手もあると思いますが、コストと運用の負担をどう見るべきか、ご意見をいただきたいです。

ご参考